ロゼッタストーンは、ソースネクスト社が販売している語学学習プログラムで、全部で24言語を学習できます。
ロゼッタストーンの学習メソッドの最大の特徴は、「聞いて、話す」の瞬発力を鍛えられることです。学習メソッドの特徴と、購入時の注意点について説明します。
また、ロゼッタストーンでは、どのような方法で学習を進めるのかを、できるだけ具体的に例を挙げて説明します。
ロゼッタストーンは有料の買い切り型プログラムですが、発音とリスニングに特化した学習内容と学習量を考えると、十分価値のある語学プログラムです。頻繁にセールをやっているので、決して高価ではありません。
語学学習に興味のある方は参考にしてください。
ロゼッタストーンは「聞いて、話す」に特化した語学プログラム
ロゼッタストーンは、日本のソースネクスト社が販売している語学学習プログラムです。初・中級編では、全部で24言語を学習できます。
学習メソッドの特徴
24言語の学習コンテンツがありますが、どれも同じ方法で学べるように作られた語学プログラムです。学習メソッドの特徴は次の通りです。
日本人が日本語を使わずに学習できる教材は、いまや当たり前の必須の条件といえます。
ロゼッタストーンの最大の特徴は、「読む、聞く、発音する」の反復練習、特に「聞いて、話す」の瞬発力を鍛える練習にあると思います。単語の練習から始めて、フレーズ、文章の練習、最後には与えられた状況に応じた会話練習へと発展します。
また、練習した発音が正しいかどうか、ネイティブに通じるかどうかを、システムが判定してくれます。不合格のままでは先に進むことができません。
ロゼッタストーン・ライブラリー
ロゼッタストーンのプログラムは、インターネット上の語学プラットフォーム「ロゼッタストーン・ライブラリー」にあります。パソコン、スマホ、タブレットで、いつでもどこでも学習できます。
複数デバイスで学習を進められて、学習の履歴を引き継ぐこともできるので便利です。また、学習コンテンツごとの進捗状況も一目で分かるようになっています。
頻繁にセールが行なわれる
ソースネクスト社は、筆まめ、筆王、宛名職人といった年賀状ソフト、ウイルス対策ソフトのZEROウイルスセキュリティのほか、AI通訳機ポケトークでも有名な会社です。
ソースネクスト社のサイトでは、頻繁にキャンペーンやセールが実施されています。ロゼッタストーンも例外ではなく、語学学習フェアで初・中級編5,478円が2,990円(割引率45%)で販売されたり、既に購入した登録者限定の追加購入割引サービスで5,478円が2,480円(割引率54%)で販売されることがあります。
また、ロゼッタストーンは、1言語ごと買い切りです。サブスクリプションではありませんので、長く学習を続けても、料金がかかり続ける心配はありません。
ロゼッタストーンの購入を考えている方は、ソースネクスト社のサイトをチェックすることをおすすめします。
ロゼッタストーンを購入するときの注意点
ロゼッタストーンの内容について具体的に説明する前に、ロゼッタストーンを購入するときの注意点を、はじめに3つ紹介しておきます。
パソコンでは、USB接続のヘッドセットがあるとよい
ロゼッタストーンの学習は、「聞いて、話す」の繰り返しが特徴です。パソコンでのリスニングと発音練習には、ヘッドセットがあった方がよいです。
パソコンに付属するスピーカーとマイクでも学習可能ですが、発音が正しいか判定するには、ヘッドセット付属のマイクを使用した方が精度がよいように感じます。
ただし、必ずUSB接続のヘッドセットを使用してください。ロゼッタストーンのプログラムは、Bluetooth接続のヘッドセットに対応していません。
ソースネクストIDが必要
ロゼッタストーンのプログラムは、インターネット上の語学プラットフォーム「ロゼッタストーン・ライブラリー」にあって、パソコン、スマホ、タブレットで、いつでもどこでも学習できます。
このため学習を進めるにはログインが必要です。ログインIDには、ソースネクスト社の「ソースネクストID」を作成して使用します。
ソースネクストIDは、ソースネクスト社のサイトでソフトウェアを購入するときや、購入したソフトウェアをユーザー登録するときにも使います。
スマホ版は「ロゼッタストーン・ライブラリー」を選ぶ
ロゼッタストーンは、パソコンだけでなく、スマホやタブレットでも使うことができます。ところが、スマホやタブレット用のアプリを検索すると、似たアプリがあるので注意が必要です。
必ず、「SOURCENEXT CORPORATION」が作成した「ロゼッタストーン・ライブラリー」をダウンロードしてください。
似たアプリとして、「Rosetta Stone, Ltd.」が作成した「Rosetta Stone」があります。こちらは基本的にサブスクリプション契約ですし、価格も高くなっていますので、選ばないようにしてください。
ロゼッタストーンのラインナップ
ロゼッタストーン初・中級編で学べる言語は、次の24言語です。プログラムは、レベル1から順に学習を進めていきますが、レベル5まである言語と、レベル3まである言語とがあります。
なお、一つの言語パッケージには、レベル1からレベル5(またはレベル3)までの内容がすべて含まれています。一つの言語パッケージを購入するだけで、レベル5(またはレベル3)まで学習できますので安心してください。
ソースネクスト社によると、一つのレベルあたり30~50時間の学習が目安だそうです。このため、レベル5まである言語の場合、全部で200時間程度とすると、週に4時間の学習で約1年間の学習期間に相当します。
なお、初・中級編のほかには、次のような英語のシリーズが販売されています。
ロゼッタストーン韓国語について、実際に使ってみた使用感や学習内容について、次の記事で詳しく説明していますので参考にしてください。
ロゼッタストーン学習プログラムの構成
ロゼッタストーン初・中級編の学習プログラムは、レベル、ユニット、レッスンという構成になっています。
レベル:1~5
学習プログラムは、難易度順にレベル1からレベル5(言語によってレベル3)で構成されています。自分のペースで順に学習を進めていきます。
ユニット:1~4
それぞれのレベルは、ユニット1からユニット4で構成されています。それぞれのユニットにはテーマが設定されています。テーマに関連した文章や会話の中で、単語や文法を学べるようになっています。
レベル1 | ユニット1 | 言語の基礎 |
---|---|---|
ユニット2 | あいさつと紹介 | |
ユニット3 | 仕事と学校 | |
ユニット4 | ショッピング | |
レベル2 | ユニット1 | 旅行 |
ユニット2 | 過去と未来 | |
ユニット3 | 友人と社会生活 | |
ユニット4 | 食事と休日 | |
レベル3 | ユニット1 | 家庭と健康 |
ユニット2 | 暮らしと世界 | |
ユニット3 | 日常の物事 | |
ユニット4 | 場所と出来事 | |
レベル4 | ユニット1 | 観光とレクリエーション |
ユニット2 | 職業と趣味 | |
ユニット3 | 街中や自宅にて | |
ユニット4 | ファッションと健康 | |
レベル5 | ユニット1 | ビジネスと産業 |
ユニット2 | 芸術や学術 | |
ユニット3 | 緊急事態 | |
ユニット4 | 家族とコミュニティ |
レッスン:1~5
それぞれのユニットは、レッスン1からレッスン5で構成されています。レッスンは、さらに次のような構成で学習が進められます。
レッスン1から4は、いろいろな方法で学習を進めます。
「コアレッスン」で、これから学ぶ単語や文法を全体的に眺めて、簡単に学習します。
「発音」や「語彙」、「文法」、「リスニング」、「会話」の中で、単語や文章、文法事項を、写真との対応を通じて学習します。発音の聞き取りや発音練習には、多くの問題が出されます。
レッスン5では、「マイルストーン」として、実力試しの学習となります。
レッスンの各項目の内容
それぞれのレッスンでは、いろいろな方法を使って学習を進めます。ここでは、ロシア語版を例にして、どのような方法で学習が進められるかを説明します。
コアレッスン
はじめに学習するのが「コアレッスン」です。この後に学習する「発音」、「語彙」、「リスニング」などの練習が次々と出てきます。
新しい単語がどんどん出てきますし、まだ知らない文法の問題も出てきます。このため、何度も間違えることになります。
繰り返して間違える中で、写真と発音とを対応させながら、想像を膨らませて単語や文法を学習していきます。
ここで学習内容を完璧に覚える必要はありません。この後にどんなことを学習するか、イメージをつかむとよいでしょう。
発音
「発音」では、単語や文章の発音を練習します。ネイティブに通じる発音かどうかを、システムが判定してくれます。
ただし、最初の設定のままでは、発音の判定精度があまりよくありません。私はこれまでに4言語を利用していますが、かなり違う発音をしても合格と判定されることがあります。
おすすめは、設定画面の発音設定を、「普通」ではなく「難しい」に設定することです。この設定であれば、自分でよいと思った発音でも、容赦なく不合格の判定をしてくれます。また、パソコン付属のマイクよりも、ヘッドセットのマイクを使う方が判定の精度が良いようです。
はじめのうちは、上の例のように単語を音節に区切って、それぞれの発音を正確に発音できるように繰り返し練習します。
その後は、上のように、文章の発音練習を繰り返します。
発音の判定は、マイクマークの周りに表示されます。マークが赤色や橙色なら不合格、緑色なら合格の判定です。合格にも段階がありますから、学習が進めば、より満点近くを取れるように発音練習するとよいでしょう。
語彙
「語彙」では、海外で単語を身につけていくプロセスのように新しい単語を学びます。発音を聞いて、それに応じたイメージ写真を反射的に選択する練習です。
上の例では、мужчина「男性」の発音が聞こえます。写真は、女性、男性、男の子、女の子のものですので、男性の写真を選びます。このようにして類義語をセットで学習していきます。
また、上の例では、Мальчик пьёт.「男の子は飲んでいる。」の発音が聞こえます。写真はすべて男の子ですが、それぞれ読む、飲む、食べる、走る動作をしています。ここでは飲んでいる写真が正解です。基本的な動作を表す単語を選択する練習です。
上の例では、Они плывут.「彼らは泳いでいる。」の発音が聞こえます。いろいろな人が、いろいろな動作をしている写真がありますので、この中から、複数の人が泳いでいる写真を選択します。
ユニット1のレッスン1の問題なので、とても簡単な例ですが、このようにして、聞いた発音が表す意味を反射的に選択することによって単語を学習します。
文法
「文法」では、ポイントとなる文法を、空所補充形式で学習できます。自然に文法が身につくように、これを繰り返し行ないます。「主語が3人称複数だから、動詞は…」のような説明は、一切ありません。
上の例は、名詞の複数形を学習する例です。мужчина, мужчины, женщина, женщины の発音がランダムに聞こえてきます。一人の男性、複数の男性、一人の女性、複数の女性の写真から、適切なものを選択します。
上の例では、それぞれの写真について、2つの選択肢のどちらが適切な単語であるか選びます。左上の写真についての出題で、женщины と женщина が選択肢となっていますので、一人の女性を意味する женщина を選択します。
また、上の例では、Мальчики читают.「男の子は読んでいる。」の発音が聞こえるとともに、Мальчики の文字が赤く、ют の文字が青くなっています。男の子たちが本を読んでいる写真を選ぶのが正解ですが、主語が複数の場合に動詞の語尾が変化していることに注意して学ぶことになります。
リスニング
「リスニング」では、発音を聞いて、それに合ったイメージ写真を反射的に選択したり、自然な会話の流れになるように回答を選択したりします。
「語彙」の学習とほぼ同じなのですが、「語彙」では、発音が聞こえたときには文字も表示されていました。しかし「リスニング」では、発音が聞こえるだけで、文字は表示されません。ですから、単語を文字ではなく、音で覚えている必要があります。
この「リスニング」の練習が、ロゼッタストーンの中心的な学習です。
読解
「読解」では、文字を読んで理解する練習を行ないます。
はじめのうちは、文字の綴りと発音の関係を習得するために、上の例のように発音練習を繰り返します。
その後は、上の例のように、発音を聞かずに、文字だけを読んで、写真と会話の流れから適切な会話を選ぶ練習が主になります。
ライティング
ロシア語版にはないのですが、言語によっては「ライティング」があります。私の持っているものでは、中国語、スペイン語(スペイン)、韓国語には「ライティング」があります。
しかし、パソコンやスマホで文字入力するのではなく、聞こえてきた発音を表す文字を選択する練習です。
私の持っていない言語版では、どのような練習方法になっているのかわかりませんが、ロゼッタストーンを使ったライティング能力の向上には期待しない方がよさそうです。
会話
「会話」では、リスニング練習などを通して身につけた、様々な状況における会話を再現して発音します。 反射的に受け答えを行う感覚を身につけることが出来ます。
上の例は、会話の基礎となる練習です。3つの写真とそれを表す文が順に発音されます。ここでは Девочка пьёт.「女の子は飲んでいる。」、Мальчик пьёт.「男の子は飲んでいる。」、Девочка ест.「女の子は食べている。」です。そして4つめの写真を表す文を自分で発音します。男の子が食べているので Мальчик ест. と発音できれば正解です。
マイルストーン
レッスン5では「マイルストーン」で学習します。ユニットの総まとめとして、実力試しの学習となります。
一連のストーリーの中で、実際に起こる場面を想定して会話をする練習です。
効果的な学習方法
ロゼッタストーンの特徴や学習内容をふまえて、効果的な学習方法を3つ紹介します。
文字と発音の関係をあらかじめ学習しておく
文字の読み方は、ロゼッタストーンでは「読解」で学習します。海外で実際の環境に近い学習方法ではありますが、かなり非効率です。
「語彙」などの他の学習項目で表示される文字がまったく読めない状態だと、発音だけに頼った学習になってしまいます。もちろん、発音をインプットのメインとして学習するのはよいと思いますし、重要です。
しかし、耳からの情報を主としながらも、目からの情報もうまく活用することによって、音と文字とが結びついて、効率的に学習を進められます。ですから、発音を聞いて、この文字がこの発音だったなぁと思い出しながら、写真イメージを通じて単語の意味と結びつける。この一連の流れが、効率のよい学習方法だと思います。
リスニングと発音に特化して学習する
ロゼッタストーンの魅力は、「聞いて、話す」の瞬発力を鍛えることができる点にあります。ですから、「発音」や「リスニング」、「会話」の学習項目を重点的に学ぶのがよいでしょう。
ロゼッタストーンで「読解」や「ライティング」の学習もできますが、学習量や学習内容は不十分に感じます。「読み書き」の学習は、ほかの入門書や初心者用の教科書を使って行なう方が効率的です。
単語や文法を忘れたら前に戻って学習し直す
ロゼッタストーンで学習すると、どこまで学習が進んだか記録が残るようになっています。このため、前へ前へと学習を進めたい気持ちになります。
しかし、毎日学習を続けられればよいですが、学習間隔があくと、前に学習した単語や新しい単語を忘れてしまいます。単語や文法を忘れていると、とたんに練習問題を解けなくなってしまいます。写真イメージと単語とを結びつけて、解答を判断するからです。
そんなときは、躊躇せずに前に戻って学習し直した方が効率がよいと感じます。また、忘れてしまった単語を記憶に定着させるためにも、再学習することは理にかなっています。
まとめ
ソースネクスト社の語学学習プログラムであるロゼッタストーンについて説明しました。
ロゼッタストーンの最大の特徴は、「聞いて、話す」の瞬発力を鍛えられることです。
有料の買い切り型プログラムですが、発音とリスニングに特化した学習内容と学習量を考えると、十分価値のある語学プログラムです。ソースネクスト社のサイトでは頻繁にセールをやっていますので、決して高価なプログラムではありません。
「読み書き」の能力向上に対しては大きな効果は得られないと思います。この分野はほかの教科書などを使用した方が効率的でしょう。
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