ロシア語の形容詞の長語尾形の格変化【初級ロシア語】

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ロシア語の形容詞は、長語尾形と短語尾形と呼ばれる2つの形に分類することができます。このうち、長語尾形の変化について説明します。

形容詞の長語尾形は、関係する名詞の性・数・格によって語尾の形が変化します。

文字の綴りで考えると、正書法の規則によって7つの変化パターンに分類されるため、複雑に思えます。

しかし、音素で考えると、硬変化型、軟変化型、語尾アクセント型の3つの変化パターンしかありません。

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形容詞の概要

形容詞は、人や物、事の性質や特徴、関係性を表す単語です。名詞を修飾したり、述語として使われたりします。

ロシア語の形容詞は、その表す意味に着目すると、性質形容詞、関係形容詞、所有形容詞に分類することができます。

形容詞の分類
  • 性質形容詞:人や物、事の性質や特徴を表す
  • 関係形容詞:人や物、事とのさまざまな関係性を表す
  • 所有形容詞:人や物、事の所属や所有関係を表す

また、形容詞の形や変化の仕方に着目すると、長語尾形と短語尾形と呼ばれる2つの形に分類することができます。

このうち、ここで説明する長語尾形には、次のような特徴があります。

形容詞の長語尾形の特徴
  • 性質形容詞関係形容詞も長語尾形をもつ
    • 所有形容詞は、多くの格で長語尾形と同じ形をしている
  • 名詞の修飾語としても、述語としても使う

形容詞は、形の変わらない語幹と、形が変化する語尾で成り立っています。

ロシア語の形容詞の長語尾形は、語尾が性・数・格によって形を変えます。この変化を曲用(きょくよう)といいますが、ここでは、一般的によく使われるように「格変化(かくへんか)」と呼ぶことにします。

格変化のしかたに着目すると、長語尾形の変化には、次のような特徴があります。

形容詞の長語尾形の変化の特徴
  • 関係する名詞の性(せい)によって形が変わる:男性、中性、女性
  • 関係する名詞の数(すう)によって形が変わる:単数、複数
  • 格(かく)によって形が変わる:主格、対格、生格(属格)、前置格、与格、造格(具格)

関係する名詞が複数形のときは、その名詞が男性・中性・女性名詞のどれであっても、形容詞は同じ形になります。

このため、性と数を同列に扱って、「関係する名詞の性・数によって形が変わる:男性、中性、女性、複数」と表現することもあります。

補足

伝統的なロシア語学では、6つの格を一覧にするときに、
 主格、生格、与格、対格、造格、前置格
の順に並べています。当サイトでは、
 主格、対格、生格、前置格、与格、造格
の順に並べています。これは、名詞や形容詞が同じ形になる格どうしを、隣り合うように並べることによって、変化形どうしの関連を意識しやすくするためです。

形容詞の長語尾形の変化パターンは、次の3つに整理できます。

形容詞の長語尾形の変化パターン
  • 硬変化型
  • 軟変化型
  • 語尾アクセント型

3つの変化パターンをもとにして、実際に形容詞の変化の綴りを考えるときには、次の3点を考慮する必要があります。

  • 正書法の規則を適用する
    • /ɡ, k, x/(文字の綴りで г, к, х)の直後に /i/ が来ると、ы ではなく и と綴る
    • /ʒ, tɕ, ʃ, ɕː/(文字の綴りで ж, ч, ш, щ)の直後に /i, u, a/ が来ると、ы, ю, я ではなく и, у, а と綴る
    • /ts/(文字の綴りで ц)の直後に /u, a/ が来ると、ю, я ではなく у, а と綴る
    • /ts/(文字の綴りで ц)の直後に /i/ の語尾が来ると、и ではなく ы と綴る
  • 語幹末が /ʒ, ʃ, ts/(文字の綴りで ж, ш, ц)の形容詞は軟子音型として考える
  • 男性・中性生格の変化形の -/v/--г- と綴る

結果として、音素で分類した3つの変化パターンのそれぞれが、文字の綴りでは、正書法の規則によって、さらに2つまたは3つに分類されます。

形容詞の分類
音素で分類綴りで分類
硬変化型基本の形новый
語幹末が г, к, х のときの形русский
軟変化型基本の形синий
語幹末が ж, ч, ш, щ のときの形хороший
語幹末が ц のときの形куцый
語尾アクセント型基本の形молодой
語幹末が г, к, х, ж, ч, ш, щ のときの形плохой, большой

多くの教科書では、文字の綴りに着目して、硬変化型・軟変化型・混合変化型のように分類しています。しかし、形容詞の変化パターンの本質は、形容詞の語幹末が硬子音であるか、軟子音であるかという音の違いです。

文字の綴りによるバリエーションを考慮して分類すると、7つの変化パターンに分けることができますが、音素で分類すると3つのパターンしかないことが分かります。

補足

軟子音の直後のアクセントのない /o//e/ に置き換えて考えると、硬子音型と軟子音型の区別がなくなって、形容詞の変化パターンの数はもっと少なく、2つ(語幹アクセント型と語尾アクセント型)になります。

しかし、現代のロシア語では /o//e/ は別の音素であることから、硬子音型と軟子音型をひとつにまとめて説明することは避けました。

この後の説明で、単語の中の赤字の母音字は、その母音にアクセントがおかれることを表しています。

形容詞の長語尾形の格変化

ロシア語の形容詞を音素で分類した3つの変化パターンを、順に説明します。

①硬変化型

形容詞の変化パターンで基本となるのが硬変化型です。語幹末が硬子音で終わり、語幹にアクセントがあります。

硬変化型の格変化の語尾を、音(音素)でまとめると次の表のようになります。男性形と中性形は、主格と対格以外の変化語尾が共通です。

音素による形容詞の長語尾形の格変化の語尾
(硬変化型)
単数複数
男性中性女性
主格-/ij/-/oje/-/aja/-/ije/
対格不活動体=主格
活動体=生格
=主格-/uju/不活動体=主格
活動体=生格
生格-/ovo/-/oj/-/ix/
前置格-/om/-/oj/-/ix/
与格-/omu/-/oj/-/im/
造格-/im/-/oj/-/imʲi/

単数男性の生格形は、その形容詞が関係する名詞が不活動体名詞であれば単数主格形と、活動体名詞であれば単数生格形と同じ形になります。同じように、複数の生格形は、複数主格形か複数生格形と同じ形になります。

この硬子音型の変化を、文字の綴りで考えると、次の2つのタイプに分かれます。

  • 基本の形
  • 語幹末が г, к, х のときの形

基本の形

形容詞の語幹末が硬子音で終わるとき、変化語尾の文字の綴りは次の表のようになります。硬子音の後の /i, o, a, u/ はそれぞれ ы, о, а, у と綴られるからです。

文字の綴りによる形容詞の長語尾形の格変化の語尾
(硬変化型(基本))
単数複数
男性中性女性
主格-ый-ое-ая-ые
対格不活動体=主格
活動体=生格
=主格-ую不活動体=主格
活動体=生格
生格-ого-ой-ых
前置格-ом-ой-ых
与格-ому-ой-ым
造格-ым-ой-ыми
注意

ここでの硬子音には、/ɡ, k, x, ʒ, ʃ, ts/(文字の綴りで г, к, х, ж, ш, ц)は含まれません。

語幹末が /ɡ, k, x/(文字の綴りで г, к, х)のときは、正書法の規則によって一部の綴りが変わります。

また、/ʒ, ʃ, ts/(文字の綴りで ж, ш, ц)のときは、軟子音型の変化として取り扱います。

硬変化型の例として、новый /ˈnovij/「新しい」の例を挙げます。

новый の格変化(硬変化型(基本))
単数複数
男性中性女性
主格 новый новое новая новые
対格 不活動体=主格
活動体=生格
=主格 новую 不活動体=主格
活動体=生格
生格 нового новой новых
前置格 новом новой новых
与格 новому новой новым
造格 новым новой новыми

語幹末が г, к, х のときの形

形容詞の語幹末が硬子音であっても、/ɡ, k, x/(文字の綴りで г, к, х)のときは、 正書法の規則によって、一部の綴りが変わります。

г, к, х の後に ы を綴ることができず、代わりに и が綴られるからです。

このため、変化語尾の文字の綴りは次の表のようになります。

文字の綴りによる形容詞の長語尾形の格変化の語尾
(硬変化型(г, к, х))
単数複数
男性中性女性
主格-ий-ое-ая-ие
対格不活動体=主格
活動体=生格
=主格-ую不活動体=主格
活動体=生格
生格-ого-ой-их
前置格-ом-ой-их
与格-ому-ой-им
造格-им-ой-ими

表の中の    は、硬変化型の基本の形と綴りが違う部分です。

例として、русский /ˈruskʲij/「新しい」の例を挙げます。

русский の格変化(硬変化型(г, к, х))
単数複数
男性中性女性
主格 русский русское русская русские
対格 不活動体=主格
活動体=生格
=主格 русскую 不活動体=主格
活動体=生格
生格 русского русской русских
前置格 русском русской русских
与格 русскому русской русским
造格 русским русской русскими

②軟変化型

形容詞の語幹末が軟子音で終わるときの変化パターンが軟変化型です。語幹にアクセントがあります。

軟変化型の格変化の語尾を、音(音素)でまとめると次の表のようになります。

表の中の    は、硬変化型の基本の形と綴りが違う部分です。

音素による形容詞の長語尾形の格変化の語尾
(軟変化型)
単数複数
男性中性女性
主格-/ij/ -/eje/ -/aja/-/ije/
対格不活動体=主格
活動体=生格
=主格 -/uju/不活動体=主格
活動体=生格
生格-/evo/ -/ej/-/ix/
前置格-/em/ -/ej/-/ix/
与格-/emu/ -/ej/-/im/
造格-/im/ -/ej/-/imʲi/

硬変化型の -/o/--/e/- となっているのが特徴です。

補足

ロシア語では基本的に、軟子音の直後にアクセントのない /o/ が来ることはなく、その場合 /e/ に変わります。このため、硬子音型の -/o/--/e/- に置き換わっているのです。

ですから、硬変化型と軟変化型は、本質的には同じ変化パターンであるといえます。

軟変化型の変化を、文字の綴りで考えると、次の3つのタイプに分かれます。

  • 基本の形
  • 語幹末が ж, ч, ш, щ のときの形
  • 語幹末が ц のときの形

基本の形

形容詞の語幹末が軟子音で終わるとき、変化語尾の文字の綴りは次の表のようになります。軟子音の後の /i, e, a, u/ はそれぞれ и, е, я, ю と綴られるからです。

文字の綴りによる形容詞の長語尾形の格変化の語尾
(軟変化型(基本))
単数複数
男性中性女性
主格-ий-ее-яя-ие
対格不活動体=主格
活動体=生格
=主格-юю不活動体=主格
活動体=生格
生格-его-ей-их
前置格-ем-ей-их
与格-ему-ей-им
造格-им-ей-ими
注意

ここでの軟子音には、/tɕ, ɕː/(文字の綴りで ч, щ)は含まれません。正書法の規則によって一部の綴りが変わるので、次の項で説明します。

軟変化型の例として、синий /ˈsʲinʲij/「青い、紺色の」の例を挙げます。

синий の格変化(軟変化型(基本))
単数複数
男性中性女性
主格 синий синее синяя синие
対格 不活動体=主格
活動体=生格
=主格 синюю 不活動体=主格
活動体=生格
生格 синего синей синих
前置格 синем синей синих
与格 синему синей синим
造格 синим синей синими

語幹末が ж, ч, ш, щ のときの形

語幹末が /ʒ, ʃ/(文字の綴りで ж, ш)の形容詞は、軟変化型として取り扱います。

そして、軟子音の /tɕ, ɕː/(文字の綴りで ч, щ)を含めて、形容詞の語幹末が /ʒ, tɕ, ʃ, ɕː/(文字の綴りで ж, ч, ш, щ)のときは、 正書法の規則によって、一部の綴りが変わります。

ж, ч, ш, щ の後に ы, я, ю を綴ることができず、代わりに и, а, у が綴られるからです。

このため、変化語尾の文字の綴りは次の表のようになります。

表の中の    は、軟変化型の基本の形と綴りが違う部分です。

文字の綴りによる形容詞の長語尾形の格変化の語尾
(軟変化型(ж, ч, ш, щ))
単数複数
男性中性女性
主格-ий-ее-ая-ие
対格不活動体=主格
活動体=生格
=主格-ую不活動体=主格
活動体=生格
生格-его-ей-их
前置格-ем-ей-их
与格-ему-ей-им
造格-им-ей-ими

例として、хороший /xoˈroʃij/「よい」の例を挙げます。

хороший の格変化(軟変化型(ж, ч, ш, щ))
単数複数
男性中性女性
主格 хороший хорошее хорошая хорошие
対格 不活動体=主格
活動体=生格
=主格 хорошую 不活動体=主格
活動体=生格
生格 хорошего хорошей хороших
前置格 хорошем хорошей хороших
与格 хорошему хорошей хорошим
造格 хорошим хорошей хорошими

語幹末が ц のときの形

語幹末が /ts/(文字の綴りで ц)の形容詞は、軟変化型として取り扱います。

形容詞の語幹末が /ts/(文字の綴りで ц)のときは、正書法の規則によって、一部の綴りが変わります。

ц の後に я, ю を綴ることができず、代わりに а, у が綴られるからです。ж, ч, ш, щ とは違って、ц の後には иы のどちらも綴ることができますが、語尾の部分では ы を綴ることになっています。

このため、変化語尾の文字の綴りは次の表のようになります。

表の中の    は、軟変化型の基本の形と綴りが違う部分です。

文字の綴りによる形容詞の長語尾形の格変化の語尾
(軟変化型(ц))
単数複数
男性中性女性
主格-ый-ее-ая-ые
対格不活動体=主格
活動体=生格
=主格-ую不活動体=主格
活動体=生格
生格-его-ей-ых
前置格-ем-ей-ых
与格-ему-ей-ым
造格-ым-ей-ыми
補足

格変化の表を見ると、硬変化型と軟変化型が複雑に絡み合った印象を受けると思います。しかし、文字ではなく、音素を基本として考えると、とても単純であることに気がつくでしょう。

主格形だけを抜き出すと次のようになります。

音素文字
男性-/ts/-/ij/-/tsij/-цый
中性-/ts/-/eje/-/tseje/-цее
女性-/ts/-/aja/-/tsaja/-цая
複数-/ts/-/ije/-/tsije/-цые

-/ts/ が軟変化型であって、正書法の規則が適用されていると考えれば、不規則な点はひとつもありません。

この変化タイプの形容詞はほとんどありませんが、例として、куцый /ˈkutsij/「尾の短い」の例を挙げます。

куцый の格変化(軟変化型(ц))
単数複数
男性中性女性
主格 куцый куцее куцая куцые
対格 不活動体=主格
活動体=生格
=主格 куцую 不活動体=主格
活動体=生格
生格 куцего куцей куцых
前置格 куцем куцей куцых
与格 куцему куцей куцым
造格 куцым куцей куцыми

③語尾アクセント型

硬変化型と軟変化型の変化タイプは、どちらも形容詞の語幹にアクセントがあります。

これに対して、語尾にアクセントのある形容詞は、すべて語尾アクセント型になります。語幹末が硬子音でも軟子音でも同じです。

語尾アクセント型の格変化の語尾を、音(音素)でまとめると次の表のようになります。

表の中の    は、硬変化型の基本の形と綴りが違う部分です。

音素による形容詞の長語尾形の格変化の語尾
(語尾アクセント型)
単数複数
男性中性女性
主格-/oj/ -/oje/-/aja/-/ije/
対格不活動体=主格
活動体=生格
=主格-/uju/不活動体=主格
活動体=生格
生格-/ovo/-/oj/-/ix/
前置格-/om/-/oj/-/ix/
与格-/omu/-/oj/-/im/
造格-/im/-/oj/-/imʲi/

違うのは、男性主格の形だけです。

語尾アクセント型の変化を、文字の綴りで考えると、次の2つのタイプに分かれます。

  • 基本の形
  • 語幹末が г, к, х, ж, ч, ш, щ のときの形

基本の形

語尾アクセント型では、変化語尾の文字の綴りは次の表のようになります。

文字の綴りによる形容詞の長語尾形の格変化の語尾
(語尾アクセント型(基本))
単数複数
男性中性女性
主格-ой-ое-ая-ые
対格不活動体=主格
活動体=生格
=主格-ую不活動体=主格
活動体=生格
生格-ого-ой-ых
前置格-ом-ой-ых
与格-ому-ой-ым
造格-ым-ой-ыми

語尾アクセント型の例として、молодой /moloˈdoj/「若い」の例を挙げます。

молодой の格変化(語尾アクセント型(基本))
単数複数
男性中性女性
主格 молодой молодое молодая молодые
対格 不活動体=主格
活動体=生格
=主格 молодую 不活動体=主格
活動体=生格
生格 молодого молодой молодых
前置格 молодом молодой молодых
与格 молодому молодой молодым
造格 молодым молодой молодыми

語幹末が г, к, х, ж, ч, ш, щ のときの形

語尾アクセント型で、語幹末が /ɡ, k, x, ʒ, tɕ, ʃ, ɕː/(文字の綴りで г, к, х, ж, ч, ш, щ)の形容詞は、正書法の規則によって、一部の綴りが変わります。

これらの子音の後に ы を綴ることができず、代わりに и が綴られるからです。

このため、変化語尾の文字の綴りは次の表のようになります。

表の中の    は、語尾アクセント型の基本の形と綴りが違う部分です。

文字の綴りによる形容詞の長語尾形の格変化の語尾
(語尾アクセント型(г, к, х, ж, ч, ш, щ))
単数複数
男性中性女性
主格-ой-ое-ая-ие
対格不活動体=主格
活動体=生格
=主格-ую不活動体=主格
活動体=生格
生格-ого-ой-их
前置格-ом-ой-их
与格-ому-ой-им
造格-им-ой-ими

例として、плохой /ploˈxoj/「悪い」の例を挙げます。

плохой の格変化(語尾アクセント型(г, к, х, ж, ч, ш, щ))
単数複数
男性中性女性
主格 плохой плохое плохая плохие
対格 不活動体=主格
活動体=生格
=主格 плохую 不活動体=主格
活動体=生格
生格 плохого плохой плохих
前置格 плохом плохой плохих
与格 плохому плохой плохим
造格 плохим плохой плохими

なお、語幹末が /ʒ, tɕ, ʃ, ɕː/(文字の綴りで ж, ч, ш, щ)の形容詞も、語幹末が /ɡ, k, x/(文字の綴りで г, к, х)の形容詞とまったく同じ変化です。

-/ovo/(文字の綴りで -ого) が -/evo/(文字の綴りで -его)のようにはなりませんので、注意してください。

большой /bolʲˈʃoj/「大きい」の例を挙げておきます。

большой の格変化(語尾アクセント型(г, к, х, ж, ч, ш, щ))
単数複数
男性中性女性
主格 большой большое большая большие
対格 不活動体=主格
活動体=生格
=主格 большую 不活動体=主格
活動体=生格
生格 большого большой больших
前置格 большом большой больших
与格 большому большой большим
造格 большим большой большими

まとめ

形容詞の長語尾形の変化について説明しました。

形容詞の長語尾形は、関係する名詞の性・数・格によって語尾の形が変化します。変化のタイプは、大きく次の3つに分かれます。

形容詞の長語尾形の変化パターン
  • 硬変化型
  • 軟変化型
  • 語尾アクセント型

文字の綴りで考えると、正書法の規則によって一部の綴りが変わるので、7つの変化タイプに分類されます。しかし、音素で分類した3つの変化パターンを基本として考えるだけで十分です。

3つの変化パターンを並べてみます。

音素による形容詞の長語尾形の格変化の語尾
男性
硬変化型軟変化型語尾アクセント型
主格-/ij/-/ij/-/oj/
対格不活動体=主格
活動体=生格
不活動体=主格
活動体=生格
不活動体=主格
活動体=生格
生格-/ovo/-/evo/-/ovo/
前置格-/om/-/em/-/om/
与格-/omu/-/emu/-/omu/
造格-/im/-/im/-/im/
中性
硬変化型軟変化型語尾アクセント型
主格-/oje/-/eje/-/oje/
対格=主格=主格=主格
生格-/ovo/-/evo/-/ovo/
前置格-/om/-/em/-/om/
与格-/omu/-/emu/-/omu/
造格-/im/-/im/-/im/
女性
硬変化型軟変化型語尾アクセント型
主格-/aja/-/aja/-/aja/
対格-/uju/-/uju/-/uju/
生格-/oj/-/ej/-/oj/
前置格-/oj/-/ej/-/oj/
与格-/oj/-/ej/-/oj/
造格-/oj/-/ej/-/oj/
複数
硬変化型軟変化型語尾アクセント型
主格-/ije/-/ije/-/ije/
対格不活動体=主格
活動体=生格
不活動体=主格
活動体=生格
不活動体=主格
活動体=生格
生格-/ix/-/ix/-/ix/
前置格-/ix/-/ix/-/ix/
与格-/im/-/im/-/im/
造格-/imʲi/-/imʲi/-/imʲi/

3つの変化パターンを並べると、次のように簡単にまとめられることが分かります。

  • 硬変化型が基本
  • 軟変化型は、硬変化型の -/o/--/e/- になるだけ
  • 語尾アクセント型は、硬変化型の男性主格 -/ij/-/oj/ になるだけ
  • 複数は、すべて同じ変化

3つの変化パターンをもとにして、次の3点を考慮すれば、実際の形容詞の変化の綴りが分かります。

  • 正書法の規則を適用する
  • 語幹末が /ʒ, ʃ, ts/(文字の綴りで ж, ш, ц)の形容詞は軟子音型として考える
  • 男性・中性生格の変化形の -/v/--г- と綴る
参考文献
佐藤 純一(著)
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匹田 剛(著)
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寺田 吉孝(著)
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