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ロシア語の不定代名詞と不定副詞【初級ロシア語】

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ロシア語の不定代名詞と不定副詞について説明します。

不定代名詞は、疑問詞をもとにして作られます。疑問詞に -нибудь を付けて作られる不定代名詞、-то を付けて作られる不定代名詞、кое- を付けて作られる不定代名詞の3種類の意味の違いを覚えましょう。

次に、некто, нечто の使い方を学ぶのが良いでしょう。その他にも不定代名詞がありますが、文章中に出てきたときに少しずつ覚えるとよいでしょう。

また、不定副詞も同じように、疑問副詞に -нибудь, -то, кое- を付けて作られます。

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代名詞とは

代名詞は、文の中で同じ名詞を繰り返して使わずに、名詞の代わりに使う単語です。その名詞が表す人や物・事を受けたり、指し示したりします。

代名詞にはいろいろな分類方法がありますが、ロシア語の代名詞は、次の9つに分類されることが多いようです。

  • 人称代名詞
  • 再帰代名詞
  • 所有代名詞
  • 指示代名詞
  • 疑問代名詞
  • 関係代名詞
  • 不定代名詞
  • 定代名詞
  • 否定代名詞

このほかに、相互代名詞を分類に加えることがあります。このサイトでは、相互代名詞を定代名詞と合わせて説明します。また、再帰代名詞は人称代名詞と合わせて説明します。

代名詞の基本的な働きは、名詞の代わりとなることですが、実際には、形容詞の代わりとなったり、数詞や数量詞の代わりとして使われる単語を代名詞に含めて考えることもあります。

ここでは、名詞の代わりをする単語のほか、形容詞の代わりをする単語も代名詞に含めて考えます。数詞や数量詞の代わりをする単語は、数詞・数量詞の仲間として扱います。

補足

数詞や数量詞の代わりをする単語の例として、сколько「いくつの」があります。この単語を疑問代名詞として扱う場合もありますが、ここでは疑問数量詞として扱います。あとに続く単語が生格形になるなど、数量詞の性質を強く持っているからです。

不定代名詞とは

代名詞は基本的に、何らかの名詞を指し示したり、既に話題になっている名詞を受けたりすることばです。このため、その対象となる名詞は特定の人や物、事であることがほとんどです。

しかし、特定できないような人や物、事を対象として指し示す代名詞があって、これを不定代名詞といいます。

ロシア語の不定代名詞には、大きく分けて、疑問詞に -нибудь を付けて作られる不定代名詞、-то を付けて作られる不定代名詞、кое- を付けて作られる不定代名詞の3種類があります。

ここでは、疑問代名詞 кточто をもとにして作られる不定代名詞を中心に説明します。

кто-нибудь, что-нибудь

不定代名詞 кто-нибудьчто-нибудь は、それが指し示す対象の人や物の存在自体が明らかではない、分からないような任意の人「誰か」や物「何か」を表わします。

また、任意の人や物、つまり、「誰でもいいから誰か」や「どれでもいいからどれか」のような意味を表わすときにも使われます。

кто-нибудь, что-нибудь の変化は、кточто の部分だけが疑問代名詞と同じように格変化して、-нибудь の部分は変化しません。

кто-нибудь, что-нибудь の格変化
кто-нибудьчто-нибудь
主格 кто-нибудь что-нибудь
対格 кого-нибудь что-нибудь
生格 кого-нибудь чего-нибудь
前置格 ком-нибудь чём-нибудь
与格 кому-нибудь чему-нибудь
造格 кем-нибудь чем-нибудь

疑問詞のあとには必ずハイフン( )を書きます。

まず、存在は明らかだが、特定できない場合の例を挙げます。

  • Кто-нибудь звонил без меня? 私の留守中に誰か電話してきましたか?
  • Знает ли он что-нибудь об этом? 彼はこのことについて何か知っているのですか?

次に、任意の誰か、何かを意味する例を挙げます。

  • Кто-нибудь из нас будет там. 私たちの誰かがそこへ行くだろう。
  • Читайте что-нибудь интересное. 何か(何でもいいから)面白いものを読んでください。

対象とする人や物が存在するかどうかが分からないことが前提となっているので、上に挙げた例のように、疑問文や未来を表わす文、また、命令文で使われることが多くなります。

кто-либо, что-либо

-нибудь の代わりに -либо を付けて作られた кто-либочто-либо という不定代名詞があります。

これは кто-нибудь, что-нибудь と同じ意味を表わしますが、主に書きことばで使われます。

кто-то, что-то

不定代名詞 кто-точто-то は、それが指し示す対象の人や物が存在していることは明らかですが、具体的には特定できない人「誰か」や物「何か」を表わします。

кто-то, что-то の変化は、кточто の部分だけが疑問代名詞と同じように格変化して、-то の部分は変化しません。

кто-то, что- の格変化
кто-точто-то
主格 кто-то что-то
対格 кого-то что-то
生格 кого-то чего-то
前置格 ком-то чём-то
与格 кому-то чему-то
造格 кем-то чем-то
  • Кто-то звонил без тебя. 君の留守中に誰かが電話してきました。
  • Он мне сказал что-то по-японски. 彼は私に日本語で何か言った。

1つめの例では、電話をかけてきた人がいるのは明らかですが、それが誰なのかは分からないため、кто-то「誰か」を使って表わしています。

2つめの例では、彼が私に向かって話しかけたことは明らかですが、その内容が分からないため、что-то「何か」を使って表わしています。

кое-кто, кое-что

不定代名詞 кое-ктокое-что は、話し手にとっては具体的に誰なのか、何なのかが分かっているけれど、聞き手に対しては曖昧にしていうときに使います。日本語では「ある人」、「あるもの」と訳せる場合が多いでしょう。

後半の кто, что の部分だけが格に合わせて変化して、その部分にアクセント(主アクセント)があります。しかし前半の коео にもアクセント(副アクセント)があるので、例えば кое-кто は、[kəjɪˈkto] ではなく [ˌkojɪˈkto] のように発音されます。

кое-кто, кое-что の格変化
кое-ктокое-что
主格 кое-кто кое-что
対格 кое-кого кое-что
生格 кое-кого кое-чего
前置格 кое о ком кое о чём
与格 кое-кому кое-чему
造格 кое-кем кое-чем

кое-кто, кое-что が前置詞の後に置かれるときには、注意が必要です。前置詞は коектокоечто の間に置かれて、それぞれを離して書きます。

上の表では、前置格は常に前置詞の後で使われますから、代表して前置詞 о を付けた形で載せています。主格以外のその他の格も、前置詞の後に置かれるときには、同じように、前置詞が間に挟み込まれますので注意してください。

кое-кто, кое-что を使った例を挙げます。

  • К нам кое-кто приходил. 私たちのところに、ある人が来ました。
  • Я кое-что принёс вам. 私はあなたにあるものを持ってきました。
  • Мне надо кое к кому сходить. 私はある人のところへ行かなければならない。

1つめの例は、誰が来たかは分かっていますが、それが誰なのかを伏せて表現しています。自分の留守中に誰かが来た場合のように、来た人が誰か分からない場合は、кто-то を使って表わします。

2つめの例では、自分が持ってきたものが何であるかは分かっていますが、それを明らかにしないで相手に渡しています。

3つのめの例では、кое-кто が、前置詞 к「~のところへ」とともに与格で使われています。кое к кому という形に気をつけてください。

また、кое-кто は「二、三の人」、「何人かの人」、кое-что は「二、三のもの」、「いくつかのもの」という意味を表わすこともあります。

  • Я поговорил кое с кем. 私は何人かの人と話をした。
  • Об этом я кое-что знаю. それについて私は多少知っている。

この文は、「ある人と話をした」や「あることを知っている」の意味で解釈することもできます。前後の文脈によって、意味を理解する必要があります。

некто, нечто

不定代名詞 нектонечто は、指し示す対象の人や物が存在していることが前提となっている点で、кто-точто-то と同じような不定代名詞です。

ふつう、нектонечто の後ろに、不定代名詞を説明することば(形容詞や前置詞句など)を置いて、「誰か~な人」、「何か~なもの、こと」のような意味を表わします。

некто は主格だけ、нечто は主格と対格だけで使われます。このため、形は変化しません。また、не の部分にアクセントが置かれ、нечто/ˈnʲetɕto/ [ˈnʲet͡ɕtə] と発音されます。

では、例文をいくつか見てみましょう。

  • Вчера ко мне приходил некто в костюме. 昨日私のところにスーツを着た人が来た。
  • Они предлагают нечто интересное. 彼らは何か興味深いことを提案している。

1つめの例では、некто の後に前置詞句 в костюме を置いて、「誰かスーツを着た人」を表わしています。

2つめの例では、нечто の後に形容詞 интересное を置いて、「何か興味深いこと」を表わしています。нечто は単数中性として扱われますから、интересный が単数中性形(対格)になっています。

また、некто は、後ろに固有名詞を置いて、「~とかいう人」という意味でも使われます。

  • Там сидит некто Петров. あそこにペトロフとかいう人が座っている。
注意

некто, нечто とよく似た単語に、некого, нечего があります。これらは不定代名詞ではなく、否定代名詞で、「~すべき人がいない」、「~すべきものがない」という、まったく違う意味を表わします。

その他の不定代名詞と不定副詞

疑問代名詞 кто, что をもとにして作られた不定代名詞について説明してきました。

ここでは、それ以外の不定代名詞のうち、代表的なものを簡単に説明します。また、不定副詞についてもあわせて説明します。

その他の不定代名詞

次の表のように、кто, что のほかに、какой, который, чей をもとにした不定代名詞があります。

-нибудь の「存在自体が明らかではない、分からない」または「任意の」という意味、-то の「存在は明らかだが特定できない」という意味、кое- の「存在は明らかだが曖昧に表わす」または「数が若干である」という意味は、この場合も同じです。

疑問代名詞と不定代名詞
疑問代名詞不定代名詞
-нибудь-токое-
кто кто-нибудь кто-то кое-кто
что что-нибудь что-то кое-что
какой какой-нибудь какой-то кое-какой
который который-нибудь который-то
чей чей-нибудь чей-то

いくつか例を挙げます。

  • какой
    • Дайте мне какую-нибудь книгу. 何か本を貸してください。(← 何らかの本)
    • Вам звонила какая-то женщина. どなたか女性からあなたに電話がありました。(← 何らかの女性)
    • Она сделала кое-какие покупки. 彼女はいくつか買い物をした。(← 若干の買い物)
  • который
    • Возьми который-нибудь карандаш. どれか鉛筆を取って。
    • Он зашёл в который-то магазин. 彼はどこかの店に立ち寄った。
  • чей
    • Он ждал чьего-нибудь сочувствия. 彼は誰かの同情を当てにした。
    • Там лежит чей-то карандаш. あそこに誰かの鉛筆がある。

некоторыйнекий

нектонечто と同じように、疑問代名詞の前に не が付いた不定代名詞に、некаторый「ある種の、若干の」や некий「とある、一種の、~とかいう人」があります。どちらも形容詞的に使われます。

  • некоторый
    • Он был в некотором смысле прав. 彼はある意味で正しかった。
    • У меня есть некоторые вопросы. 私にはいくつか質問がある。
  • некий
    • Она работает в некой компании. 彼女はとある会社で働いている。
    • Там работал некий Кузнецов. そこではクズネツォフとかいう人が働いていた。

некоторый は、который と同じように、形容詞(硬変化型)で形を変えます。

некий は、語幹末が к で終わる形容詞と似た変化をしますが、ところどころ不規則です。詳細は下の補足を参照してください。

補足

некий は、語幹末が к で終わる形容詞と似た変化をしますが、男性の生格、前置格、与格では、некого, неком, некму ではなく、некоего, некоем, некоему のように、е が入り込んだ形となります。

некий の格変化
単数複数
男性中性女性
主格 некий некое некая некие
対格 不活動体=主格
活動体=生格
=主格 некую 不活動体=主格
活動体=生格
生格 некоего некой неких
前置格 некоем некой неких
与格 некоему некой неким
造格 неким некой некими

以前は、男性造格 некоим、女性生格・前置格・与格・造格 некоей、複数生格・前置格 некоих、与格 некоим、造格 некоими という形も使われていました。

古くは、主格・対格は /nʲek/- が語幹、それ以外の格は /nʲeko/-/nʲeki/- が語幹であるかのような変化をしていた単語ですが、次第に形容詞と同じような格変化の仕方へと変わってきているようです。

不定副詞

疑問代名詞ではなく、где のような疑問副詞から作られる不定副詞もあります。

比較的よく使われる不定副詞は次の表の通りです。空欄は、そのような単語が存在しないか、まれにしか使われない単語です。

疑問副詞と不定副詞
疑問副詞不定副詞
-нибудь-токое-
где где-нибудь где-то кое-где
куда куда-нибудь куда-то кое-куда
откуда откуда-нибудь откуда-то
когда когда-нибудь когда-то кое-когда
как как-нибудь как-то кое-как
почему почему-нибудь почему-то

ひとつひとつ、例文で確認してみましょう。

  • где
    • Надо где-нибудь пообедать. どこかで昼食をとらなければ。
    • Я где-то его видел. 私はどこかで彼に会ったことがある。
    • На дорогах кое-где сошёл снег. 道の所々で雪が消えていた。
  • куда
    • Пойдём куда-нибудь в воскресенье? 日曜日にどこかへ行きませんか?
    • Он куда-то ушёл. 彼はどこかへ行ってしまった。
    • В субботу я пошёл кое-куда. 土曜日に私はあるところへ出かけた。
  • откуда
    • Может быть, помощь придёт откуда-нибудь. もしかしたら、どこかから助けが来るかもしれない。
    • Откуда-то донеслись звуки. どこからか物音が聞こえてきた。
  • когда
    • Когда-нибудь я поеду в Москву. いつか私はモスクワへ行くつもりだ。
    • Когда-то он жил с этом доме. かつて彼はこの家に住んでいた。
    • Кое-когда я встречаю старых друзей. たまに私は昔の友人に会う。
  • как
    • Как-нибудь успеем. 私たちはなんとか間に合うだろう。
    • Он как-то успел на последний поезд. 彼はなんとか最終列車に間に合った。
    • В этой комнате как-то темно. この部屋はなんとなく暗い。
    • Мы кое-как добрались домой. 私たちはやっとのことで家にたどり着いた。
  • почему
    • Если он почему-нибудь сердился, то всегда молчал. 彼は何らかの理由で怒っているときは、いつも黙っていた。
    • Почему-то я очень устал. 私はどういうわけかとても疲れた。

ひとつひとつの例文と和訳を見比べて、不定副詞の意味合いをじっくりと確かめてみてください。

この中で次の点に注意してください。

кое-где は、「あるところで」の意味ですが、例文のように「所々で」のような意味になることもあります。

когда-то は、過去の事柄について使うと、日本語では「かつて」と訳すとよい場合があります。過去の任意の時点を表わすからです。

как-нибудькак-то は「なんとか」、「なんとかして」のような意味ですが、как-то には「なんとなく」という意味もあります。また、кое-как は日本語では「やっとのことで」と訳すとよい場合が多いでしょう。

まとめ

ロシア語の不定代名詞と不定副詞について説明しました。

不定代名詞は、疑問詞をもとにして作られます。疑問詞に -нибудь を付けて作られる不定代名詞、-то を付けて作られる不定代名詞、кое- を付けて作られる不定代名詞の3種類の意味の違いを覚えましょう。

次に、некто, нечто の使い方を学ぶのが良いでしょう。その他の不定代名詞は、文章に出てきたときに少しずつ覚えるとよいでしょう。

また、不定副詞も同じように、疑問副詞に -нибудь, -то, кое- を付けて作られます。

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