TBS系の「日曜劇場」枠で放送されたテレビドラマ『VIVANT』では、モンゴル語のセリフが数多く使われています。
ここでは、第10話である最終話のセリフの中から3つを厳選して、モンゴル語を解説します。紹介するセリフは次の3つです。
ここで解説したモンゴル語に間違いがあれば、ぜひコメントで教えてください。
VIVANTとは
『VIVANT』(ヴィヴァン)は、2023年7月から9月までTBS系の「日曜劇場」枠で放送されたテレビドラマです。
堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、松坂桃李、役所広司といった俳優陣が共演しています。
モンゴルの北西にある架空の国家「バルカ共和国」を舞台にしているため、ドラマ内では、多くのモンゴル語のセリフが飛び交っています。
ここでは、最終話のセリフの中から3つを厳選して紹介して、モンゴル語を解説します。単なる挨拶ではなく、簡単な文章ですから、日常で使えるかもしれません。
なお、カタカナの発音表記を付けていますが、モンゴル語の発音を正確に表すことはできませんので、ご了承ください。
第9話のセリフは、次の記事で紹介しています。
最終話からセリフ3選
「大至急、救急車4台呼べ!」
テロ組織「テント」と乃木(堺雅人)たち別班が対戦し、立ち去った場所に、バルカ警察のチンギス(Barslkhagva Batbold)たちがやってきて言うセリフです。
Яаралтай дөрвөн түргэний тэрэг дуудаач!
ヤーラルタエ ドゥルウン トゥルゲニー テレグ ドーダーチ
яаралтай は「急いで」という副詞です。反対に「急がずに」は яаралгүй といいます。
дөрвөн は、数詞の「4」дөрөв の語末に н の付いた形です。数詞の後に他の数詞や名詞が続くときは、このように н の付いた形になります。
数詞については、次の記事で説明していますので参考にしてください。
түргэний тэрэг は「救急車」です。түргэн「急ぎ」の тэрэг「車」です。「救急車」は түргэн тусламжийн машин と言ったりもします。この場合は、 түргэн тусламжийн「救急(速い助け)」の машин「自動車」です。
дуудаач は、дуудах「呼ぶ」に、軽い命令を表す接尾辞 -аач が付いたもので、「呼べ、呼びなさい」という意味になります。
全体で、「急いで4台の救急車を呼びなさい」となります。
「テントとムルーデルには一切の関わりはない」
テロ組織「テント」が経営するムルーデル社とバルカ政府との間での契約の場で、警視庁公安部の野崎(阿部寛)が言ったセリフです。
Тэнто болон Мөрөөдөл Компанийн хооронд ямар ч холбоогүй.
テント ボロン ムルードゥル コンパニーン ホーロンドゥ ヤマルチ ホルボーグイ
はじめの тэнто はテロ組織「テント」を表す単語です。劇中で、ラテンアルファベットでは tent と書かれていますので、тэнт とすべきかもしれません。しかし、モンゴル人俳優も最後の母音を発音していますので、ここでは тэнто と綴ることにしました。外来語として扱って、母音調和の規則に従わない単語です。
болон は、「~と~」というときの接続詞です。 Мөрөөдөл Компани は「ムルーデル会社」という固有名詞です。мөрөөдөл は「夢」という名詞に、компани はロシア語に由来しています。
хооронд は「~の間に」という副詞です。ここまでで、「テントとムルーデル社の間に」となります。
ямар「どんな」に助詞 ч が付くことによって、「どんな~も」という意味になります。
холбоогүй は、холбоо「関係」がないという意味を表します。
全体で、「テントとムルーデル社の間には何の関係もありません」となります。
「私もその中の一人です」
バルカ警察のチンギス(Barslkhagva Batbold)とバルカ政府のキメル法務大臣(大場泰正)との間の会話で、チンギスが言ったセリフです。
国内の孤児院の多くをテロ組織「テント」が面倒を見ていたことを知った法務大臣に対するチンギスの返答ですが、日本語字幕は意訳されています。
Би ч бас тэр асрамжийн газарт өссөн.
ビーチ バス テル アスラムジーン ガザルトゥ ウッスン
би は「私は」という代名詞です。これに ч が付いて「私も」となります。さらに бас「また」が付いて「私もまた」です。
тэр は代名詞で、ここでは「その」の意味で使われています。
асрамжийн газар は「養育院、孤児院」です。直訳では「援助の場所」となります。「孤児院」を丁寧に言うと、өнчин хүүхдийн асрамжийн газар というようです。これを直訳すると「孤児の援助の場所」となります。
最後の өссөн は、өсөх「育つ」に、完了を表す接尾辞 -сөн が付いたものです。「育った」という意味です。
全体で、「私もまたその孤児院で育ちました」となります。これを字幕では「私もその中の一人です」としているのです。
まとめ
TBS系の「日曜劇場」枠で放送されたテレビドラマ『VIVANT』では、数多くのモンゴル語のセリフが使われています。最終話のセリフの中から、次の3つを厳選してモンゴル語を解説しました。
モンゴル語がどのようなことばなのかを知るには、『モンゴル語のしくみ』を読むとよいでしょう。
入門~初級レベルのモンゴル語を学習するには、『ニューエクスプレスプラス モンゴル語』が最適です。
さらに中級レベルのモンゴル語まで学習したい方には、『詳しくわかるモンゴル語文法』をおすすめします。
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