TBS系の「日曜劇場」枠で放送されたテレビドラマ『VIVANT』では、モンゴル語のセリフが数多く使われています。
ここでは、第3話のセリフの中から3つを厳選して、モンゴル語を解説します。紹介するセリフは次の3つです。
ここで解説したモンゴル語に間違いがあれば、ぜひコメントで教えてください。
VIVANTとは
『VIVANT』(ヴィヴァン)は、2023年7月からTBS系の「日曜劇場」枠で放送されたテレビドラマです。
堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、松坂桃李、役所広司といった俳優陣が共演しています。
モンゴルの北西にある架空の国家「バルカ共和国」を舞台にしているため、ドラマ内では、多くのモンゴル語のセリフが飛び交っています。
ここでは、第3話のセリフの中から3つを厳選して紹介して、モンゴル語を解説します。単なる挨拶ではなく、簡単な文章ですから、日常で使えるかもしれません。
なお、カタカナの発音表記を付けていますが、モンゴル語の発音を正確に表すことはできませんので、ご了承ください。
第2話と第4話のセリフは、次の記事で紹介しています。
第3話からセリフ3選
「これが最後の水なんだ」
乃木(堺雅人)が、砂漠で動けなくなったラクダに残り少ない水を与えながら言うセリフです。
Энэ сүүлчийн ус шүү.
エン スールチーン オス シュー
энэ は「これは、これが」という代名詞です。
сүүлчийн は「最後の」、ус は「水」なので、сүүлчийн ус で「最後の水」となります。
шүү は、断定したり、念を押したりするときに使うことばです。無理に日本語に訳せば、「~なんだよ」といった感じでしょうか。
全体で「これが最後の水なんだ」となります。
「ここは我がバルカの領土だ」
バルカ警察のチンギス(Barslkhagva Batbold)が、モンゴル国境警備隊に対して言うセリフです。
Энэ бол Балка Улсын газар нутаг.
エン ボル バルカ オルスィン ガザル ノタグ
энэ は「これは、これが」という代名詞です。このセリフでは、いまいる場所を指して「ここは」という意味で使っています。
бол は、その前におかれた単語を強調する働きがあります。
Балка Улс は、劇中の架空の国家「バルカ国」です。正式には Балка Бүгд Найрамдах Улс「バルカ共和国」というようです。これに -ын 「~の」が付いて「バルカ国の」となります。
газар нутаг は「領土」です。газар には「土地、大地、領土」といった意味があります。また、нутаг は「故郷」という意味で使うことが多いですが、「場所、領土」といった意味もあります。ここでは газар нутаг で「領土」という意味で使われています。
全体を直訳すると、「ここはバルカ国の領土だ」となります。
「位置情報で確認済みだ!」
バルカ警察のチンギス(Barslkhagva Batbold)が、モンゴル国境警備隊に対して、先ほどのセリフに続けて言うセリフです。
Байршил мэдээлэл батлагдсан!
バエルシル メデーレル バトゥラグドゥサン
байршил は「位置」という名詞です。なお、байр は「住居、場所」という意味です。
мэдээлэл は「情報」です。なお、мэдээ は「知らせ、ニュース」という意味です。
батлагдсан は「確認された」という意味です。動詞 батлах「確認する」に、受身を表す -гд- という接尾辞が付いて、батлагдах「確認される」という新しい動詞ができあがります。これに、完了の意味を表す接尾辞 -сан が付いて、「確認された」となります。
「我々は位置情報を確認した」とほぼ同じ内容ですが、わざわざ「我々」と言わずに、「位置情報」を主語として表した文です。日本語だと「位置情報は確認した」と言うこともできますが、モンゴル語では動詞の表す動作の主体(動作主)は「位置情報」ではないので、受身の表現で表します。
全体を直訳すると、「位置情報は確認された」という意味です。
まとめ
TBS系の「日曜劇場」枠で放送されたテレビドラマ『VIVANT』では、数多くのモンゴル語のセリフが使われています。第3話のセリフの中から、次の3つを厳選してモンゴル語を解説しました。
モンゴル語がどのようなことばなのかを知るには、『モンゴル語のしくみ』を読むとよいでしょう。
入門~初級レベルのモンゴル語を学習するには、『ニューエクスプレスプラス モンゴル語』が最適です。
さらに中級レベルのモンゴル語まで学習したい方には、『詳しくわかるモンゴル語文法』をおすすめします。
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